コウモリに噛まれたらどうなってしまうのか解説していきます。
また、コウモリに噛まれた場合は狂犬病の危険や他の病原菌による影響があるのかについても紹介していきます。
コウモリに噛まれるリスクとは?
コウモリは多くのウイルスや病原菌の宿主となっていることが知られており、噛まれることによって人間に感染症が伝播するリスクがあります。主に野生のコウモリは、人間と直接接触することは少ないですが、時に建物内や住宅地に現れることがあり、その際に噛まれるケースが報告されています。
コウモリによる咬傷が心配される理由の一つは、その鋭い歯で皮膚を貫通する可能性が高いためです。特に、傷が小さく目立たない場合でも感染症のリスクが存在するため、コウモリに噛まれたら必ず適切な処置を行う必要があります。
狂犬病の危険性と潜伏期
狂犬病とは?
狂犬病は、哺乳動物に感染する致死的なウイルス性疾患です。この病気は、ウイルスが中枢神経系に感染し、発症後は致死率が非常に高いことで知られています。コウモリは、狂犬病ウイルスを保有する可能性がある動物の一つです。特に南米や東南アジアの一部地域では、吸血コウモリが狂犬病を媒介することが確認されています。
日本国内では1956年以来、狂犬病の発生は報告されていないものの、海外では年間約5万5,000人が狂犬病で死亡しています。海外渡航者や、輸入されたコウモリに触れる可能性のある人は、依然として狂犬病に対する注意が必要です。
潜伏期と症状
狂犬病の潜伏期は、通常1週間から3ヶ月程度ですが、最長で1年に及ぶこともあります。ウイルスは咬傷部位から体内に入り、神経を通じて脳に到達すると、次のような初期症状が現れます。
- 発熱
- 頭痛
- 倦怠感
- しびれ感
さらに進行すると、以下の重篤な症状が出現します。
- 嚥下困難
- けいれん
- 意識障害
- 昏睡
発症後は治療法がなく、致死率は非常に高いです。そのため、噛まれた場合は発症する前に速やかにワクチン接種を受けることが不可欠です。
その他の感染症のリスク
コウモリは狂犬病以外にも多くの病原体を保有しており、次のような感染症が人間に伝染する可能性があります。
ニパウイルス感染症
ニパウイルスは、コウモリが宿主であり、主にコウモリの体液や排泄物を介して感染します。このウイルスは脳炎を引き起こし、致死率が高いことが特徴です。日本では報告例はないものの、海外では複数のアウトブレイクが報告されています。
ヘンドラウイルス感染症
主にオーストラリアで発生しているヘンドラウイルス感染症もコウモリ由来の感染症です。このウイルスは呼吸器系と神経系に影響を与え、発熱や肺炎、さらには脳炎を引き起こすことがあります。
ヒストプラズマ症
コウモリの糞に含まれる真菌が原因で、これを吸い込むことで発症します。多くの場合は無症状ですが、免疫力が低下している人は発熱や咳、呼吸困難などの症状が現れることがあります。
コウモリに噛まれたときの対処法
もしコウモリに噛まれた場合、以下の手順で迅速に対応することが重要です。
- 傷口を洗浄する
まず、清潔な水と石鹸で噛まれた部分を15分程度洗い流します。強く擦らず、傷口を丁寧に洗浄します。 - 服を洗う
噛まれた際に着ていた服にもウイルスや病原体が付着している可能性があるため、着衣を洗濯しましょう。 - 医療機関を受診する
噛まれた際には、傷の大小に関わらず、すぐに医師の診察を受けることが大切です。特に、狂犬病や他の感染症のリスクがあるため、病院でワクチン接種や適切な治療を受けましょう。 - 症状を観察する
噛まれた後、しばらくの間体調の変化に注意を払いましょう。傷口の腫れや痛みが続く場合や、発熱などの症状が出た場合は、再度医師に相談することが必要です。
コウモリとの接触を避けるための対策
コウモリとの不必要な接触を避けるためには、以下のような対策が推奨されます。
- コウモリの巣に近づかない
コウモリが巣を作る可能性がある場所、特に屋根裏や洞窟には近づかないようにしましょう。また、野生のコウモリを手で捕まえることは避けてください。 - 家屋の侵入経路を塞ぐ
コウモリが建物内に侵入するのを防ぐために、隙間や穴をしっかりと塞ぎます。特に窓や屋根の通気口などが侵入経路になることが多いです。 - 駆除は専門業者に依頼する
万が一、家の中にコウモリが侵入してしまった場合、無理に駆除せず、専門の害獣駆除業者に相談することが安全です。