ハクビシンからうつる病気には、どんな病気が考えられるのかを詳しく解説していきます。
また、ハクビシンによる狂犬病の危険性はあるのかにも合わせて紹介していきます。
ハクビシンから感染する病気
ハクビシンは、直接的な接触や排泄物、寄生するノミ・ダニを介して、人間やペットにさまざまな感染症を引き起こすリスクがあります。以下、詳細に解説します。
疥癬(かいせん)
疥癬は、ヒゼンダニという微小なダニが皮膚に寄生し、強いかゆみや発疹を引き起こす病気です。ヒゼンダニは皮膚の角質層に潜り込み、トンネルを作って卵を産み付けます。感染経路としては、ハクビシンに直接触れることだけでなく、彼らが使用した巣や毛に触れることで感染が広がることもあります。特に、人間にとっては通常疥癬と角化型疥癬という2種類が存在し、後者は非常に感染力が強く、大量のダニが皮膚に寄生します。感染者は夜も眠れないほどの強いかゆみを感じることが多く、症状が進行すると全身に広がることがあります。
サルモネラ症
サルモネラ菌は、ハクビシンの腸内に生息し、排泄物や体液を通じて人間に感染する細菌です。汚染された食品や水を摂取することで感染し、発熱、腹痛、下痢などの消化器症状を引き起こします。重症化すると、敗血症や髄膜炎を引き起こし、死亡することもあります。特にハクビシンが食い散らかした果物や野菜に触れることが感染のリスクを高めます。
エルシニア感染症
エルシニア菌は、動物の腸内や自然環境に生息する細菌で、ハクビシンの排泄物や体液を介して人間に感染します。感染すると、腹痛や発熱、下痢といった症状が現れ、腸間膜リンパ節炎や虫垂炎と誤診されることがあります。特に右下腹部に痛みが集中するため、虫垂炎(盲腸)と勘違いされることが多いです。
イヌジステンパー
イヌジステンパーは、犬やイタチ、アライグマ科の動物が感染する致死性の高いウイルスです。ハクビシンはこのウイルスの媒介者となり、感染した動物から犬へ感染が広がる可能性があります。感染すると、発熱や嘔吐、下痢、結膜炎、血便などの症状が現れます。特に犬への感染が懸念されるため、ペットに対して予防接種を行うことが重要です。人間への感染例は稀ですが、感染が広がると野生動物やペットに甚大な被害を与えることがあります。
ノミ・ダニによるアレルギー反応
ハクビシンにはノミやダニが寄生しており、これらの寄生虫が人間やペットに感染することで、強いかゆみや皮膚の炎症、アレルギー反応を引き起こすことがあります。特に、ハクビシンが棲みついた屋根裏や天井裏からノミやダニが家の中に侵入し、人間が刺されるケースが報告されています。また、ノミやダニによる吸血が原因で、アトピー性皮膚炎や喘息などの症状が引き起こされることもあります。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
SFTSは、マダニが媒介する感染症で、ハクビシンに寄生するマダニを通じて感染するリスクがあります。SFTSは高い致死率を持ち、発熱、嘔吐、下痢、腹痛といった症状が現れます。感染が進行すると、重篤な状態に陥ることがあり、特に高齢者や免疫力が低下している人は注意が必要です。
ハクビシンによる狂犬病のリスク
狂犬病は、ウイルスに感染した動物に噛まれることによって伝染し、致死率がほぼ100%の非常に危険な病気です。日本国内では、狂犬病はすでに清浄化されているため、国内でハクビシンを介して狂犬病に感染するリスクは非常に低いです。しかし、海外では依然として狂犬病が発生しており、特に台湾では2013年に狂犬病を持つハクビシンが確認された例もあります。このため、狂犬病の感染リスクは海外から輸入された動物を通じて日本国内に再度持ち込まれる可能性があります。
ハクビシンによる感染症予防策
ハクビシンが原因で引き起こされる感染症を防ぐためには、以下の対策を徹底することが重要です。
- 食べ物の管理
ハクビシンは雑食性で、生ゴミや果物、ペットフードなどを餌とします。これらを外に放置しないことで、ハクビシンの家屋への侵入を防ぐことができます。 - 家屋の点検と修繕
ハクビシンは木登りが得意で、屋根裏や天井裏に侵入することがあります。木の枝が屋根に届かないように庭木を剪定し、家の隙間を塞ぐことが効果的です。 - 忌避剤の使用
ハクビシンは特定の臭いを嫌うため、忌避剤を使用することで侵入を防ぐことが可能です。ただし、忌避剤には個体差があり、効果が薄い場合もあるため、他の対策と併用することが推奨されます。 - 専門業者による駆除
ハクビシンは鳥獣保護法によって保護されており、無許可での捕獲は法律違反となります。ハクビシンが家に住みついた場合は、専門業者に駆除を依頼するのが安全で確実です。